人間関係れんしゅう中

自分が分からずに、人間関係も迷走中な私が、ひとりをゆっくり楽しむ日常を綴るブログ。主に読書や映画、そして日常で思うことについて書いていこうと思います。

【映画感想】インサイド・ヘッド(吹き替え版)

f:id:hitoriju:20210614104555p:plain

あらすじ

 ライリーは、笑顔が素敵な活発な11才の女の子。

彼女の頭の中には5つの感情が存在する。ライリーを楽しい気持ちにすることが役割のヨロコビ、嫌いなものを拒絶する役割のムカムカ、腹が立った時に怒りを爆発させる役割のイカリ、危険からライリーを守る役割のビビリ。でもライリーを悲しませてしまうことしかできないカナシミの役割だけは謎に包まれている…。

そんな感情たちは、頭の中の司令部で、ライリーを幸せにするため日々奮闘していた。

ある日ライリーは、住み慣れた大好きなミネソタを離れ、見知らぬ街サンフランシスコで暮らし始める。不安定になった彼女の心は、感情たちに思わぬ大事件を起こす。転校先の教室で自己紹介をしているその時、カナシミがミネソタでの楽しかった≪思い出ボール≫に触れてしまい、ライリーは泣きじゃくってしまう。

自身でもワケがわからぬカナシミの無意識にボールに触れてしまう衝動により、ついにヨロコビとカナシミは司令部の外に放り出されてしまう!2つの感情を無くしてしまったため、頭の中の世界は異変の兆しを見せ始め、2人は巨大迷路のような≪思い出保管場所≫に迷い込み、ヨロコビ不在の司令部も大混乱となる。

その頃ヨロコビとカナシミは自分たちも今まで見たことが無かった驚きと色彩に満ちた世界で大冒険を繰り広げていた。―司令部を目指してライリーを再び笑顔にするために!

引用元:

作品情報|インサイド・ヘッド|映画/ブルーレイ・デジタル配信|ディズニー

 要するに、喜怒哀楽に相当する5つのキャラクターがライリーという女の子の脳内で感情を調整しているお話し。

このライリーは11歳の女の子ってうのも興味深く、第二反抗期の直前だし、脳内には幼いころのイマジナリーフレンド(象)がいる一方で、理想の男性像というのが共存しているのも面白いと思う。

 

 

 

 

以下、ネタバレ注意

ヨロコビのワンマンチームが終わってよかった

物語の冒頭はほぼヨロコビが、他の感情による干渉を良しとしないワンマンチームだった。その中でも、ヨロコビはカナシミへの当たりが強くて、言葉はポジティブだが厄介払いのような扱いをしている。

そのおかげで、ライリーの人格形成にかかわる記憶は「ヨロコビの記憶一色」で、彼女の感情を司る島も「家族」「アイスホッケー」「正直」「ユーモア」など、優等生だが面白味もない島だった。

嫌なことがあっても、ポジティブなところを無理やり見つけて両親を励ましたりという姿はちょっと不健康じゃないかとすら思っていた。

子どもなんだから、嫌なことがあったら駄々こねて親に文句言ってもいいんだよって気持ちに何度もなった。

正直言ったら、このままヨロコビのワンマンチームだったら逆にライリーは生きづらかったと思う。だって人間はそんなに単純じゃないし、善いものではないから。

多分、アダルトチルドレンになっていたんじゃないかな?

カナシミが、大事な記憶に干渉してヨロコビの記憶をカナシミに塗り替えようとしたのは、ライリーの無意識的な衝動だったと思う。

 

脳内のドタバタは、現実の世界では転入の挨拶は失敗し、学校にはなじめず、引っ越す前のミネソタに戻るために家出をするという行動で現れる。

その過程で、親に反抗的な態度をとったり、ミネソタに戻る資金の調達のために、母親の財布からカードを抜き取るという形をとったりする。

そのため「正直」「ユーモア」などの人格を形成する島は崩れたりとトラブルが起きたが、最終的には、11歳という微妙な時期の少女の成長を見守ることができてよかったなと思った。

 古い友達も、新しいボーイフレンドもライリーのために

ヨロコビとカナシミが指令室に戻るのに大きく貢献した2つの存在がある

1つ目は、ライリーのイマジナリーフレンドの「リンボ」であり、2つ目は同じくイマジナリーボーイフレンドである。

リンボは作中の登場時間も長く、印象深いキャラクターである。

ここでリンボの特徴をまとめると

  • ライリーが3歳の時に生まれた、頭のなかの友達
  • ライリーが動物が好きだったので象とかイルカの特徴が混ざっている
  • しばらくライリーからお呼びがかからなくて不安に思っている
  • リアカーにロケット花火+箒がついた乗り物を「ロケット」と呼び、愛機としている。
  • 同期のプリンセスランドとかが解体されていることに対して深い悲しみを覚えている
  • ヨロコビの「自分たちを司令部に戻してくれたら、ライリーにリンボのことを思い出させてあげる」という言葉により、案内・同行する

このようになっている。そしてお察しの通り、成長したライリーにとってリンボは過去の存在に過ぎず、むしろ今まで頭の中にいたのか不思議なくらいの消滅間近の存在だった。

一方ボーイフレンドは

  • 無造作ヘアーの若い青年の姿をしている
  • 「ライリーのためなら死ねる」という言葉を繰り返している

リンボが役割を終えて消滅間近の存在であるのに対し、こちらはこれから育まれる「ライリーの好きな存在」である。

こちらは登場シーンがとても短く、扱いも非常に軽い。

面白いところは、現実世界のライリーは未だ異性に強い関心を抱いておらず、父親以外の男は基本出番はない。

最終シーンで、ライリーとぶつかり、ライリーを強く意識する同年代の少年と出会うが、その挙動不審な態度に引いている様子が描かれるので、まだ意識の表層に出てこないから、脳内ボーイフレンドの語彙も少ないのだと思う。

見どころはリンボの献身

色々あるが、見どころとして推したいのはリンボの献身である。

前述したとおり、リンボはライリーの幼いころの友達であり動物の姿をしている。

そして、ライリーの興味はファンタジーで空想的なものではなく、成長にしたがって、より現実的なものになっており、脳内の建物も空想的なものはどんどん取り壊されている状態であった。

リンボはヨロコビ・カナシミに同行するにつれて、どんどん自分が不要な存在であることを自覚していったのかもしれない。

同じ時期に建てられたファンタジーな建物の取り壊し、愛機を不要なものと管理者に谷底(パソコンでいうトラッシュボックス)に捨てられたり、現在のライリーの姿を見て不安に思ったりする様子が描かれる。

それでもライリーのために動く姿は強く印象に残った。

レビューは酷評?

インサイド・ヘッドで検索すると、候補に「ひどい」とか「つまらない」とかいう言葉が出てくる。

それは、本作がお笑いにもシリアスにも振り切れていないし、展開が予想できてしまうという部分が大きいからだと思う。

作品として丁寧に仕上がっていると思うが、これに「1800円払っても公後悔しないか?」といわれると「後悔する」という回答になってしまう。

ライリーの両親の脳内や、他の登場人物の脳内でキャラ達が感情をコントロールしているシーンはとても面白かったので、そっちの方向で進んだ方がエンタメとしては面白かったと思う。

脳内は地層

作中では、ライリーの脳内は都市計画のように、建物が解体・建築されているが、実際の脳は地層なのではないかと思う。

ただ、人間の成長速度に対して地層という表現がシックリ来ないというのもあるし、映像的に面白くないのも確かであるけれど。

多分、表層でも掘ればイマジナリーフレンドの痕跡があるし、それがきっかけで少しの間にも再会できるのではないかと思う。

使用素材サイト

www.ac-illust.com