【映画感想】ちょっと今から仕事やめてくる
映画の概要
第21回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞した北川恵海の同名ベストセラーを、福士蒼汰主演で映画化。仕事のノルマが厳しく精神的に追い詰められていた隆は、疲労のあまり駅のホームで意識を失い電車に跳ねられそうになったところを、ある青年に助けられる。幼なじみのヤマモトと名乗るその青年に全く見覚えのない隆だったが、ヤマモトとの交流を通して徐々に明るさを取り戻し、仕事も順調に進むようになっていく。ところがある日、ふとしたことからヤマモトについて調べた隆は、ヤマモトが3年前に自殺していたという信じがたい事実を知る。福士扮する謎の青年ヤマモトに救われる隆役に工藤阿須加。「八日目の蝉」「ソロモンの偽証」の成島出監督がメガホンをとる。
2017年製作/114分/日本
配給:東宝引用元サイト様
視聴のきっかけ
人間関係とか、仕事に疲れた私はGyaoで「マツコの知らない世界」の配信を見た後に、このタイトルに惹かれて動画を視聴してしまう。
ちょっとした感情ジェットコースターだと知らずに...。
初めにいうと、わたくしはメンタルが弱い人間です。
人との物理的距離が近いだけで激しく消耗し、大声で怒鳴られようものなら頭が真っ白になります。
なので、実写の人物が演じるドラマは視聴は避ける傾向があるんですね。(芸能人にも特に興味はないのもある)
でも、これはあらすじとかタイトルとかが気になったし、福士蒼汰さんが出演していたのでハードルが低かった(実写苦手だけど、漫画原作や特撮作品は別腹という謎である)
感情のジェットコースター!
あらすじからすると、隆がヤマモトに救われて自分の生き方を見つめなおす物語だと思うじゃないですかー!
事実そうですよ、でも隆がそこまで至る過程に山場が3つくらいある...
ここから先はネタバレなので、自分の目で見たい人は回避してください!
山場の3つは
- ヤマモトの誠実な生き方に触れて、営業を勝ち取るも発注ミスにより先方からの信用を失う
- ヤマモトが3年前に亡くなっているのをブログで知ったり、本人が意気消沈して霊園に向かうのを見て、ヤマモトを成仏させようと誠実に生きる決心をする。しかし、憧れの先輩からその姿勢を無駄とされ罵倒される
- 憧れの先輩が、パワハラ部長に「発注ミスの引継ぎをしたのに、文句を言われた」というニュアンスのウソ告発をする
そして隆は自殺未遂。ヤマモトが引き留めたることに成功したもののモヤモヤする。
しかも、発注ミスはその先輩が改ざんしたものという...。
でも、そこまでしないと隆はブラック企業から足が洗えなかっただろうし、自分の生き方を見直せなかったと思う。
マジで、部長の罵声と土下座強要と人格否定のコンボは心臓がキュってなった。
隆ほどじゃなけど、似たような経験がある自分はちょっとキツカッタ
許すということ
この作品の中で、隆は許して、そして許されるという体験をする。
両親からの許しを得られて、会社の先輩やパワハラ部長を許す。
両親には今まで、感謝をきちんとしなかったことを謝り、更に父親に対して会社を首になり、次の仕事に就けない時に「努力不足」「無能」と罵ったことを謝った。
だからこそ、似たような罵倒をしてきた部長を許し「もっと、社員の頑張りを認めてください」と声をかけることで自分の過去を清算できたのだと思う。
そして、実は似たような苦しみを抱えていた先輩を受け止め「それでも憧れの先輩です」と返すことができた。
きれいすぎるけど、隆の成長という側面でみるととても分かりやすい展開だったと思う。
救うという行為が自分の救いになることがある
ここまでスルーしていたヤマモトの存在だけど、最後の30分位で彼の正体が分かる。
ヤマモトが名乗っていた「山本純」は亡くなった双子の片割れであり、死因は自殺。
隆と同じようにブラック企業に勤めていたという。
孤児院で育った2人は、海外の自分たちと似た境遇の子供たちのために支援活動しようと誓いを立てる。しかし、それは果たされなかった。
そのため、活動自体も断念していたヤマモトだった。
しかし、ブラック企業を辞め晴れ晴れとスーツ姿で公道をスキップする隆を見て、希望を思い出し海外に旅立つ。
最後は、隆もその活動に加わりエンディングを迎える。
辛かったけど視聴してよかった
パワハラ部長の演技と語彙力がきつかったけど、視聴を終えて晴れ晴れとした気持ちになった。
けれど、発展途上国で支援するということが美化されていないかな?と思う。
あっちはあっちで、食料とかインフラとか別の問題や苦しみがあると思うし...。
でも、隆が生きやすいと思ったのならよかったと思う。